■日本渓流会JP■翠渓会本部日本渓流会JP翠渓会本部・管領 TOTALEDITER 春翠

2008回想特別編・第七翠聖帝谿3 昨年の釣行記より…『疾風怒濤翠聖帝谿・風嵐ノ出陣/後編』

2008回想特別編・第七翠聖帝谿3 昨年の釣行記より…『疾風怒濤翠聖帝谿・風嵐ノ出陣/後編』 1

2008回想特別編・第七翠聖帝谿3 昨年の釣行記より…『疾風怒濤翠聖帝谿・風嵐ノ出陣/後編』「挑・迷・謎?翠聖帝谿の主・巨大飛潜神岩魚に挑む」



谷間の抉り取られた岩盤が続いた峡谷を抜ける。廊下帯を過ぎる出口近くは明るくなり、ここからが釣りやすいイワナの楽園だ。廊下帯の中は、一般的には魚は少ないとされるが、翠聖帝谿については毎年ゴルジュ帯でもイワナの数は多い。恐らく出水のない年は魚も居付いているのだろう。増水するとイワナ達の移動が始まる。後で気付いたが、昨年尺5寸の大イワナをバラした辺りが、割合平坦で浅瀬もあるので産卵場になっているのではないかと思う。九月のこの時期は産卵準備の体力維持とペアリングをしながら源流に移動するようだ。初めはこの薄暗いゴルジュ帯がイワナの格好の棲みかなのかと思ったが違うようだ。下流から遡り、ゴルジュ帯で遡上する順番を待つ様に隊列をなして淵に並んでいる。出口近くのカーブには、10Mは離れている下の谿に、尺クラスが4、5本ユラユラして見える淵もあるが、谿が急でとても近付けない。あそこに降りるのはザイルでもハングしているのでキツイだろう。漸く聖翠殿に追い付いた。聖翠殿の足腰の強さには関心する。私にはとても付いて行けない。聖翠殿が手を上げて呼んだのは?…聖翠殿が指差す先には、その峡谷の先にある岩盤を構えた大淵が崩れている!何の崩壊だろうか?垂直に崩壊し瓦礫のような岩が、淵を埋めている。下流の様子では出水による影響には無いように思えたが?谿の変化は自然のままである。やはりアタリは無いが足早に遡行する。後少しで飛潜神の棲む淵に辿り着く。そういえば崩壊を過ぎたあたりから水色が変わったような?これだ!入渓し谿に降り立った時、聖翠殿が感じた水質だ!この崩壊で淵より下流には若干濁りが入っていたのだ!聖翠殿の「感覚」は当たっていた。谿の水色がほんの少し違う事を聖翠殿は見抜いていたのだ!よく見るとあきらかに違う水色だ。淵より上流の緑色が本来の水色なのだ。緑かかった色のイワナが多いのもこの水色のせいか?
目を凝らすとペアリング行為なのかイワナがじゃれあっている。近くに行っても逃げない。餌を追う様子はないので、次のポイントへ移動する。木の掛かった淵が見える。手前の流心から来たイワナは尺上イワナだ。そして本命の前の第一級ポイントへそっと近づく。流れは強いぞ、大きめのガン玉に変更し底を流すと、スゥーっと何かが横切った。わぁ〜飛潜神だ〜!聖翠殿はちがうちがうと笑っている。流心を軽く横切ったので大イワナかと思った。そして、軽く合わせると「重たいぞ!」掛かった〜。横に暴れるので引き上げようとするが、流心にぐいぐい引き込まれ竿がうまく、立たない。遊ばせてるうちにバレてしまった。落ち着いてもう一回。たぶん40センチ近い大イワナだろう。以前もバラしたイワナを掛けている。ヤマメやアマゴはともかく、イワナはバレても二回目で釣れる事も多かった。イワナの習性なのだろうか?同じ餌をもう一度…。今度は一発で乗った!魚の重量は文句なくずっしりした引きだ。今度は慎重に寄せ、上げたイワナは38センチ雄だった。あまり杓れていない。しかし堂々とした腹まわり、蛙でも丸呑みしているような体型だ。どうりで重かった訳だ。野鼠の一匹位のが入ってるような膨れた腹にも見える。やはりさっきバラしたイワナだ。ハリスが付いていた二本とも外し写真を撮る。しばらくすると魚体が紅葉したかの様な色に変色する。元にいた淵に戻すと流れに乗って消えていった。しかしこのクラスで焦っているようではとても飛潜神には適わない。さて問題の淵が見えてきた。今日は水量が無い。昨年見えなかった底石が見えている。飛沫をあげた滝の落ち口のエゴにいるはずだ。その飛沫が眼前に来た。やや緊張して仕掛けを取り替えるが、手が震えている…。一昨年の飛潜神の重量感に竿を出す前から伸されているような感覚になった。さて今日はどうか?






Counter