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木曽イワナ 木曽川水系ヤマトイワナ<守れるかヤマトイワナ>

木曽イワナ 木曽川水系ヤマトイワナ

<守れるかヤマトイワナ>

ムカシイワナ(つりキチ三平で架空の魚名とされている)・・・タキタロウなのか。『実在の魚』とされながらも伝説めいた話が多いタキタロウも結局は『魚類』であり『イワナ(鱒類)の仲間』であろうと・・・。木曽イワナ(ヤマトイワナ)は現在も生息している。釣り雑誌やHPの紹介でいくつかの渓の名が上がっているが、木曽川水系を中心に、特に王滝川水系・西野川水系等に生息している。古来『木曾谷』と呼ばれた地域に生息しているので。『木曾イワナ』と命名されている。個人的には他の地域のヤマトイワナとは少し違う色合いをしているように思う。ヤマトイワナの最大は私の知る限り75センチ(湖沼系では無い)が最高だが、木曾谷のようにムカシ話が多い地域では1Mの大イワナとか、抱きついて捕獲した人の身長くらいの大イワナの話とか、『ムカシ』は本当だったのだろう。木曾谷にも巨大岩魚の伝説があっても不思議は無い。乱獲により減る各地のヤマトイワナ・・・『ムカシ』とは違うから、釣りを楽しむだけにし、持ち帰るのは止めて貰いたいものだ。

長野県水産試験場 木曽試験地
〒397-0002 長野県木曽郡木曽町
新開字正ノ平127-238
TEL/FAX:0264-23-8571
E-MAIL:suisankiso@pref.nagano.lg.jp

■信毎の1999年の記事<守れるかヤマトイワナ>
「守れるかヤマトイワナ」 1999年1月4日 信濃毎日新聞掲載
県水産試験場木曽試験地(木曽郡木曽福島町)が、木曽川水系在来のヤマトイワナの増殖取り組んで10年。雌23匹から始まった増殖は、98年に35万粒を採卵し、20万粒の出荷を見込むまでになった。地元魚協も放流を続け、純系のイワナを守る試みが続いている。渓流に生息し、釣り師のあこがれの的イワナは、森林伐採や河川改修で生息域が年々狭まり、増殖技術の向上と放流で何とか姿を残しているのが現状だ。釣り魚としての価値を優先し、分布域を考慮しないこれまでの放流によって、違うタイプ同士が交雑して在来の魚が減る課題も出ている。木曽川漁業協同組合は昨年、ヤマトイワナの稚魚5万匹と成魚1500キロを放流した。ニッコウイワナだけだった放流に、ヤマトイワナを加えるようになったのは4年前。細沢実組合長は「昔、ヤマトイワナは”木曽イワナ”と呼ばれ、斑点が美しい魚。”幻の魚”にならないように何とか増やしたい」と話す。県水産試験場木曽試験地がヤマトイワナの増殖を手掛けたのは、試験地が現在地に移った1988年。木曽川源流の味噌川上流で捕った雌23匹がもとだ。92年に初めて卵2万粒を出荷。その後、順調に数を増やし、増殖技術は確立してきた。「稚魚のうえ付けには最も苦労しました」。同試験地の荻上農林技師はこう振り返る。稚魚はふ化後、腹に残った卵黄を吸収し終わると、餌を食べ始める。だが、動いている餌にしか興味を示さない。ヤマトイワナは用心深い性質で、人影を見ただけで食べなくなるという。イトミミズ、人工飼料、豚の肝臓のミンチなど、さまざまな餌を試みた。水槽横に物陰をつくり、手だけを水槽上に伸ばし、スプーンを揺らしながら小量ずつ餌を落とすといった工夫もした。「ふ化場にヒーターを持ち込み、1日6〜7時間、毎日のようにつきっきりで面倒をみた」と荻上技師。試行錯誤の後、水槽内の水を浅めにし、魚の密度を増やすと、食いがよくなることが分かった。餌を与えるタイマー付き機械も導入。人工飼料でもスムーズに餌付けできるようになった。当初は発眼率の成績も悪く、91年は59%。採卵時期の経験を積んだ最近は90%以上だ。増殖技術確立の一方で、課題も浮かび上がっている。放流したヤマトイワナが自然の中でうまく繁殖していけるか明らかではない。昨年12月、木曽川漁協と同試験地は、3年前からヤマトイワナだけを放流している大桑村の阿寺川支流の生息調査を実施。2日間の調査では、ヤマトイワナのほか、以前に放流したニッコウイワナが繁殖して残っていたり、両者の交雑とみられるタイプのイワナが混じった。中村試験地長は「一度別の魚が入った場所で純系を保のは難しい」と指摘する。在来のイワナが減った例では、上高地の梓川周辺が知られている。昭和40年代に全面禁漁になり、放流も在来種だけに切り替えた。だが、それ以前に北米原産のカワマス(ブルックトラウト)、欧州原産のブラウントラウトが放流されており、カワマスとイワナの交雑が進むなど、在来イワナの数が減っている。5年ほど前からヤマトイワナの増殖を手掛ける御岳淡水の高橋社長は「養殖が早く始まり、何代もたっているニッコウイワナに比べ、ヤマトイワナはまだ野生味が強く、育てにくい。同じ大きさに育つのが1年遅い」と話す。木曽郡内でヤマトイワナを養殖する民間業者は同社だけ。出荷のほとんどは、木曽川漁協の放流用で、ほかに需要もないため、「採算が合わない」(高橋社長)というのが現状だ。木曽在来のヤマトイワナ保存には、克服しなければならない問題が少なくない。釣り客を呼ぶための放流と、純系の魚の保存のバランスをどう取るか。20年にわたりニッコウイワナを放流している木曽川水系も、ヤマトイワナから見れば上高地化していると言える。本腰を入れて守るには、禁漁区を増やしたり、放流を行なわずに自然に再生産される区間を設けるなど、川の使い方を考えた試
みが必要だ。その実現には、漁協、釣り人、行政の連携が欠かせない。

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